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名前だけでも覚えて帰ってください

Android wearでKeynoteをリモートコントロールする方法

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Photo by Maurizio Pesce from flickr (CC BY 2.0)

講演資料は普段Keynoteで作っていて、iPhone使ってた頃は純正のiOSアプリでスライドの送り戻しをやっていたんだけど、2年前にさよならiPhoneした。で、Androidに切り替えたんだけど、Android AppにもKeynote対応のリモコンアプリはいくつかあって困ってなかった。ただ最近安くソニーSmartWatch3 SWR50を譲ってもらったので、Apple Watch的な感じでAndroid wearKeynoteを操作したいと思った。で、それなりに動いたので、メモがてら書き残しておく。

やりたいこと

僕の環境

  • macOS Sierra version 10.12.4(これを書いているときの最新版)
  • Keynote Ver 1.7(これを書いているときの最新版)
  • Zenfone 3 laser(Android 6.0.1 Marshmallow)
  • SmartWatch3 SWR50(Android wear 1.5)

上記環境以外ではチェックしてないのであしからず。

手順

前提:MacAndroidは同じWi-Fiネットワークにあること

  1. macOSの設定でAndroid端末からリモートログインできるようにする
  2. Google play Storeで「Mac Remote for wear」アプリをダウンロードする
  3. Mac Remote」でIPアドレスとID/Passを設定する
  4. Mac Remote」にKeynoteを動かすAppleScriptを設定する
  5. Android端末でテスト
  6. Android wearでテスト

手順2~手順5まではAndroid端末の操作。Android wearを使うのは最後だけ。

macOSの設定でAndroid端末からリモートログインできるようにする

「設定」→「共有」でリモートログインにチェックマークを入れる。このとき「すべてのユーザー」にアクセスを許可してはダメ。「次のユーザのみ」にして、自分が使うユーザIDを設定すること。あとここで表示されてるMacのローカルIPアドレスをメモしておくこと。

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Google play Storeで「Mac Remote for wear」アプリをダウンロードする。

https://play.google.com/store/apps/details?id=be.hcpl.android.bubble&hl=ja

Mac Remote」でIPアドレスとID/Passを設定する

ここからAndroid端末でもろもろ設定。「Mac Remote」Appを立ち上げる。で、ハンバーガーメニューをタップして出てくる「Connect」画面で、MacにログインするIDとパスワード、そしてさっきメモしたMacのローカルIPアドレスを設定する。設定が終わったら画面右上のチェックマークをタップして、接続できるかチェック。正しく接続できたらアプリのAbout画面が出てくるはず。

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Mac Remote」にKeynoteを動かすAppleScriptを設定する

またハンバーガーメニューをタップ。今度は「Manage Apps」を選んで、画面右上の+でKeynoteをリモートで動かす設定をする。

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your app nameにはKeynoteと入力。

play pause commandには下記のAppleScriptを入力。多分コピペすれば大丈夫。

if running of application "Keynote" is true then
  tell application "Keynote"
    activate
    try
      if playing is false then start the front document
    end try
   end tell
end if

previous commandには下記のAppleScriptを入力。これも多分コピペすれば大丈夫。

if running of application "Keynote" is true then
  tell application "Keynote"
    activate
    try
      show previous
    end try
  end tell
end if

next commandには下記のAppleScriptを入力。これも多分コピペすれば大丈夫。

if running of application "Keynote" is true then
  tell application "Keynote"
    activate
    try
      show next
    end try
  end tell
end if

show previousshow nextになっただけ。

info commandは……僕は必要ないので何も設定してない。

ここまで設定したら右上のチェックマークをタップして保存。するとハンバーガーメニューをタップすると「Keynote」って設定ができてるはずなので、それをタップ。

Android端末でテスト

下記のようなリモコン画面が出てくるはず。

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でっかい再生ボタンにplay pause commandが割り当てられている。下の小さな「>」がnext command、「<」がprevious command(「?」は多分info commandが割り当てられているんだと思う)。

で、MacでプレゼンしたいKeynoteファイルを開いて、でっかい再生ボタンをタップすればプレゼンがスタートする。「>」をタップすればスライドが進むし、「<」をタップすればスライドが戻る。

ここまでがAndroid端末の操作。

Android wearでテスト

ここでやっとAndroid wearが登場。アプリ一覧から「Mac Remote」を選ぶと……

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はいリモコン画面でました。ボタンのアサインはさっきAndroid端末でテストしたときと一緒。

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動いた? やったーー! キミもKeynoteAndroid wearで操作するフレンズなんだね

その他いろいろ

  • 僕はでっかい再生ボタンでスライドが前に進むように設定した。上記AppleScriptの設定でコードを入れ替えればよいだけ。スライドのスタートはMac本体でやることがほとんどだから、正直あんまり必要ない。押しやすいボタンでスライド送れるようにすると操作ミスがなくてよさげ。

  • プレゼンが終わったらmacOSのリモートログインをOFFにするのを忘れないこと。ONにしたままだとセキュリティ的によろしくない。

  • タイムラグはある。これはしょうがない。Android端末で操作したほうがタイムラグは短め。そしてやっぱ純正のiOSアプリが最強。他にいい方法をご存じの方は教えてください。

  • PowerPointはMicrosoftが純正Remote Appを出してるし、Google SlidesはそのままiOS/Android Appでできる。

  • wena wristもカッコいいけど、SmartWatch 3の後継も出してくれないですかねソニーさん……。出たら買う。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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著作権侵害の非親告罪化はやっぱり既定路線? 参議院予算委員会質疑を書き起こしてみた。

今日の参議院での質疑の中で、元気会の山田太郎議員がインターネットと基本的人権についての質疑を安部総理に対して行い、そのなかでTPPの知的財産権条項における非親告罪についても総理がコメントした。取り急ぎ書き起こしをしてみたのでご参考までに。「共通ルールの構築を目指し」という総理の答弁から、決まりとしての非親告罪化は入るということなのだろうか。

※下記書き起こしのレイアウトやフォントの装飾、文中リンクは筆者によります。転載は自由ですが、その場合は参議院インターネット審議中継などでファクトを取り直してください。内容に誤りがないという保証はありません。

参議院インターネット審議中継
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=3286&type=recorded
※山田議員の当該質問は3時間23分30秒くらいから

平成27年8月10日 参議院予算委員会 山田太郎議員質問(関連部分のみ)

山田太郎議員:さて残された時間、表現の自由ということで一つ、インターネットは基本的人権だというところを少し質疑させていただきたいと思いますが。表現の自由と通信の秘密、まぁ憲法21条なのですが、それにですね、違反されているのではないかというという事例が日本でも多くあるのではないかなと危惧しております。先日衆議院で通過しました通信傍受法においてはですね、警察による電話やメールなどの傍受範囲が拡大されました。今般、昨年改正されました児童ポルノ禁止法でも、プロバイダにサーバのパトロールと通信の監視をする努力義務が付きました。青少年インターネット環境整備法自民党の方から法案化された、一度提出されました青少年健全育成基本法についてもですね、青少年の知る権利を奪うかのごとく、積極的にプロバイダなどによるブロッキングを即しているのはないかと懸念しています。ヨーロッパではインターネットは基本的人権として使われています。日本もそのようにすべきではないかなと思っています。で、先日総理が本部長を務めます知的財産戦略本部においてですね、著作権違反サイトについての通信の検疫やブロッキングを検討することが推進計画に載ってたんですね。ただCODA(注:コンテンツ海外流通促進機構)がしっかり言っていれば、海外、中国サイトにおいても100%、ほぼ削除されているとのことなんで、わざわざ憲法違反の可能性の高いネットの検閲、遮断という手法は使うべきではない、私はこのように思っております。ぜひこの辺り、総理が本部長をやられております知的財産推進戦略本部における会議の中で、この表現の自由や通信の秘密を最大に制限するネットの検疫やブロッキングを最初からするべきではないと考えておりますが、総理のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣:ご指摘の表現の自由や通信の秘密は日本国憲法で保障された基本的人権のひとつであり、それを尊重するべきであるということは言うまでもないと思います。その一方で例としてあげられた児童ポルノは厳正に取り締まるべき犯罪行為であります。関係業界の協力を得ながら取り締まりを強化するため、平成26年6月、議員立法によってご指摘の努力義務が創設されたものと承知しています。そしてTPP交渉における著作権侵害非親告罪化については、二次創作の萎縮などの懸念も踏まえ、権利保護と利用促進とのバランスを取りながら、共通ルールの構築を目指し、交渉にあたっております。

山田太郎議員:時間が来ました。TPPの非親告罪の話は、質疑通告はしたのですが、質問しなかったのですけども、答えていただきましてありがとうございました。以上で終わります。ありがとうございます。

(書き起こしは以上)

「Code for 青空文庫 #aozorahack 」アイデアソン #1 まとめ

2015.5.30(土)に開催された「Code for 青空文庫」アイデアソン#1, たくさんの方のご来場本当にありがとうございました。またアイデアソン以外の場でもご注目いただき, 議論をしていただいた方もあり, 反響に驚きつつ, 大変感謝しております。

イデアソンで出されたアイデアのまとめ作業は随時進めておりますが, まずは現状で出せる情報をまとめておきます。

また参加者の方作成の資料のうち, いくつかを見つけることができませんでした。大変お手数ですが, 該当のチームの方はファイルの在処を教えて下さい。見落としの場合はごめんなさい!

イデアソンに関する記事

レポート

青空文庫を救え!「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 レポート #aozorahack:見て歩く者 by 鷹野凌

参加者レポート

「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 に参加してきました #aozorahack - weblog of key_amb

「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 に行ってきました | takemikami's note

「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 の記録 - hokorobi’s diary

Code for 青空文庫に行ってきました - まぁ、つまらないものですが

Code For 青空文庫 #aozorahack アイディアソン #1 で発表した - gennei's blog

※抜けがあったら教えて下さい!

コメント

私的青空文庫のお話(その2)大野晋 / 水牛のように2015/06

セッション映像, スライド

大久保ゆう(青空文庫ボランティア)

香月啓佑(本の未来基金)

宇谷有史

イデアソン説明, Microsoft BizSpark提供に関する説明, 質疑応答

スライドは上記の香月のスライドをご覧ください

イデアソンの成果

参加者個人から出たアイデアスケッチまとめ

ideathon/ideas.md

インフラ分科会

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自動校正システム+入力支援

チーム員:@silicagel, カシタニ, @key_amb

クラウド

チーム員:松崎, ヤケ, 野間, greenspa

発表資料:2015/05/30の青空文庫アイデアソンにおいて, インフラ内「クラウド化」チームのまとめです。

オープンデータとAPI

チーム員:田辺, 湯谷, カネダ, 森田, 金田, 塚本

青空文庫ドキュメンテーションについて

チーム員:石田, ハタ, ノクビ, クマガヤ, hokorobi, eml

発表資料:青空分光のドキュメンテーションについて - Google スライド

アプリ分科会

f:id:keisukekatsuki:20150530142151j:plain

校正モチベーション向上

チーム員:中村智浩 (@HAIL), 高橋(@misyobun), 渡邊光(@hikalin8686), macopy(@mackee_w), moortz(@moortz)

発表資料:青空文庫 校正を楽しくするプロジェクト - Google ドキュメント

ユーザーのフィードバックを可能にする

チーム員:s1061123, phainu, @fx702p, 五段

API提供, オープン化

チーム員:@naokomada, @zhenwv3, 井上祐作, @shouhei.tai, @hika69, @studio5, @takemikami

発表資料:青空文庫アイデアソン, アプリAPI - Google スライド

構成支援アプリケーション

チーム員:カワハラ, 加世, 中田, 牛頭

発表資料:ideathon/構成支援アプリケーション.md at 3f89e19360dfbcfec36bccd50e4b4646e98d1f55 · aozorahack/ideathon

マネジメント・広報分科会

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青空文庫のオープン化

チーム員:野口, 広瀬, 小澤, 高村, タケハナ, 兼松

青空文学部

チーム員:河野, 長谷川, 持田, 鷹野, 吉川, 古賀

今後について

現在GitHub上で具体的な作業に向けた検討が進んでいます。またコミュニケーション用にSlackに「aozorahack」チームを作りました。参加希望の方はGitHubをご覧ください。

aozorahack/aozorahack

また校正管理サーバの移転については、サーバの現状について調査を続行中です。メールアドレスなどの個人情報が含まれているため、作業状況の公開まではもうしばらくお待ちください。

そして今回の動きに関してもう少しわかりやすい形で現在青空文庫で活動中の皆さんに資料を作成し、説明の準備を進めています。そちらももうしばらくお時間をください。

「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 当日注意事項

「Code for 青空文庫」アイデアソン #1の開催がとうとう明日に迫りました。ご出席のみなさまに直前のご案内を差し上げます。お忙しいところ大変お手数ですが、重要なお願いもありますので、必ず一度お目通しをお願いします。

集合場所

セルリアンタワーオフィス棟入り口

当日は10:45〜11:00の間にご来場ください。GMOさんの業務に支障をきたさないよう、ロビーの混雑を避けるため、早めのご来場はご遠慮ください。

【参考】勉強会などでのセルリアンタワー(GMO Yours)入館ガイド | GMOメディア エンジニアブログ
↑あくまでも渋谷駅から集合場所までのナビの参考にとどめてください。その他の内容は少し古くなっているようです。

ご注意

  • 入館カードは一度退館すると無効になってしまいます
    • カードの枚数には限りがありますので、昼食は各自でお持ち込みください
    • 飲み物や茶菓子は運営で準備しております
    • 途中で一時退館される方はスタッフにお申し出ください。追加のカードをお渡しします
    • 入館カードの持ち帰りは厳禁です
  • ゴミは各自でお持ち帰りください
  • もし可能なら各自ラップトップをお持ちください
  • メディア(TV, ネットメディア)の取材が入ります。予めご了承ください。

当日連絡先

香月啓佑(本の未来基金、MIAU

TwitterのDMはフォロー外の方からでも受け取れるようにしています

ニコニコ生放送URL

前半のセッションについてはニコニコ生放送でライブストリーミングします。

http://live.nicovideo.jp/watch/lv222893315

資料

今日のクラウド小委感想

FBに書いた今日のクラウド小委の感想をこちらにも貼っておく。

今日の文化庁のクラウド小委の議論では、基本的にType2型(Dropboxからあらゆる共有機能をなくした純粋なロッカー型)については著作権法第30条(私的複製)で処理、その他の型については「発展的なクラウドサービス」として、音楽に関する集中管理スキーム(著作権も著作隣接権もワンストップで契約できる仕組み)を作ってより契約をしやすい形式にしようという方向でまとまりつつある。契約自由の原則が保障され、またこの集中管理スキームがクラウドサービス限定の運用とならないのであれば、勝手にやってもらっていい。それはビジネスの問題だし、持続できるビジネスが成長することが権利者への適切な対価還元に向けた一番の近道だからだ。

ただ問題はその契約に関して、利用実態調査の名のもとに利用者個人のプライベートなストレージ内のファイルに管理楽曲がどれくらいあるのかをクラウド事業者は調査せよと権利者団体が主張しはじめた。しかも個人名ではなくIDで管理するからプライバシーは侵害されない、的な発言が飛び交った。

権利者は「事業者は見えるものを権利者は見られない」というが、それは違う。ユーザーのデータは事業者も原則「見てはならない」もののはず。事業者だって「見えない」ものなのだ。

IDで管理すると言ったって、それはまさに内閣官房でされたパーソナルデータの議論で、個人特定性低減データをどうするかというのはまだ決まっていない話。しかもユーザーのデータ領域にある音楽データファイルと権利者が管理する楽曲のフィンガープリントを照合せいと言っている。その照合処理をするマシンリソースは誰が準備するんだ。音声データの処理はなんだかんだ言って重いぞ。

というかこの議論の流れでいくと、「ユーザーの利用実態調査に合わせた契約」の名のもとにあらゆることが可能とされてしまうおそれが出てきていている。プライバシーをないがしろにした議論が進むことを本当に懸念している。というか著作権の議論の場でプライバシー侵害の可否の問題を安々と扱うべきではない。

あと今日はあうんの呼吸で避けられた公衆設置自動複製機器の問題、これも最終的には必ず議論し、廃止の方向に持っていく必要がある。

今日の一曲:天体観測 / BUMP OF CHICKEN

見えない物を見ようとして〜
見えてる物を見落として〜

この秋見ておくべき放送大学の講義3講

そういえば10月になったので放送大学も後期がはじまった。というわけで「面白いテレビ番組がない」とお嘆きの諸兄に向けて、僕が前期に見た中で後期も開講されているおすすめ講義を3つご紹介しましょう。教養番組として普通におもしろい。こういうのを地上波で見られる東京はステキですよ、いやマジで。

■現代の国際政治('13)
シラバスhttp://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H26/kyouyou/B/syakai/1639250.html
サンプル動画:http://ocw.ouj.ac.jp/tv/1639250/02.html

イスラム問題になるとメディアで引っ張りだこになる高橋和夫先生の講義。テーマはずばりアメリカとイスラム社会。この講義に出てくるキーワードを元に自分で色々調べていくと基礎体力がついていくのがわかるのでオススメ。ちょいちょい出てくるダジャレや洒落にもご注目を。

■錯覚の科学('14)
シラバスhttp://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H26/kyouyou/B/sinri/1528939.html
サンプル動画:http://ocw.ouj.ac.jp/tv/1528939/01.html

錯視から記憶、洗脳、そして疑似科学まで、人間の認知を錯覚という切り口からバッサリ切る講義。自分が見ている世界にかかっているバイアスの存在、そしていかに人間がだまされやすいかということを痛感させられる。講義の組み立て方もある種のバラエティ番組のようで退屈させないような構成になっている。

■情報のセキュリティと倫理('14)
シラバスhttp://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H26/kyouyou/B/joho/1570080.html
サンプル動画:http://ocw.ouj.ac.jp/tv/1570080/01.html

サイバー犯罪から、リテラシー教育、そしてハクティビズムまで。2014年開講の講義なので、わりかし新し目のキーワードが紹介されている。授業の感想をツイートすると講師からすかさずRTされるという緊張感もある。

【参考】
放送授業の視聴方法 (放送大学
http://www.ouj.ac.jp/hp/bangumi/howto.html

著作権侵害の非親告罪化は既定路線? 参議院決算委員会質疑を書き起こしてみた。

今日の参議院での質疑の中で、みんなの党山田太郎議員がTPPの知的財産分野について、特に著作権侵害非親告罪化について質問していたので取り急ぎ書き起こししてみた。TPPの知的財産分野においては(何らかの形で)著作権侵害非親告罪化は入ってしまう模様だ。

下記書き起こしのレイアウトやフォントの装飾、文中リンクは筆者によります。転載は自由ですが、その場合は参議院インターネット審議中継などでファクトを取り直してください。内容に誤りがないという保証はありません。

平成26年6月6日 参議院決算委員会 山田太郎議員質問(TPP知財分野関連分野のみ)

山田太郎議員:さて時間の関係でですね、質問の内容を前後しますが、TPPと著作権非親告罪の問題について少し質疑していきたいと思います。TPPにおける著作権保護のあり方、特にですね、著作権非親告罪化について、大きな議論となっています。まずおさらいなのですが、日本の著作権では、著作権侵害に対する刑事罰はですね、親告罪というようになっておりまして、著作権を侵害された権利者が告訴しないと、検察官は加害者を起訴できないと、こういう仕組みになっております。そこでまずわが国著作権法親告罪という仕組みをとっているその趣旨について文科大臣のほうからご説明いただけますでしょうか?

下村文部科学大臣:今、山田委員からお話があったとおりでありますが、基本的にわが国がこの著作権侵害について、これは非親告罪(ママ)ということで居続けているわけでございます。これは国によってそうとう著作権制度の制度設計は違いがあるわけでございますが、例えば非親告罪化について検討を行った著作権分科会報告書におきまして、米国、イギリス、フランス等は非親告罪を採用していると。一方著作権侵害について親告罪を採用している国としては、我が国のほか、ドイツ、オーストラリア及び韓国があると承知をしております。ただし親告罪を採用している国においても、ドイツではその侵害行為が業として不法に行なわれる場合、検察当局が特別の公共の利益を理由として、職権による関与を要するものを思料するときは非親告罪としているほか、韓国ではその侵害行為が営利目的で常習的に行われるものについて非親告罪としているものと承知しております。基本的にわが国は非親告罪(ママ)というスタンスの中で、いままでこの著作権については対応したというスタンスであります。

山田太郎議員:TPPの件との絡みで少しお聞きしていきたいのですが、日本の著作権親告罪ですけども、先ほど大臣がお話したようにですね、非親告罪の国が実は多いと。で、TPP参加国は、実はですね、ほとんどの国が非親告罪という仕組みになっております。そういった意味で今回TPPに参画するということは、この著作権に関してですね、日本も非親告罪化を求められるという可能性が非常に高いのではないかなぁというふうに思っております。一方でこの知財の問題、交渉が難航しているというふうにもお伺いしますが、甘利大臣の方にお伺いしたいのと思うのですが、このTPP交渉における著作権侵害非親告罪にするかどうかという問題、どのように日米交渉で間合いが詰まっているのか、この辺りを教えていただけないでしょうか。

甘利TPP担当大臣著作権であるとか特許権、こういういわゆる知的財産権に関しましては、権利者の保護をどこまで強くするかということと、それから利用をどう促進していくか、これはどうバランスをとるかという問題であります。著作権についてもですね、非親告罪の国がご指摘のように多うございます。そこでどうバランスを取りながら親告罪の国と非親告罪の国に関してですね、共通ルールを作るかということで今議論をしているところであります。詳細な中身はなかなか言いづらいのでありますけれども、一律にみんな非親告罪にしてしまえというというような議論はですね、あまり良くないなと、いうようなところからですね、共通ルールにしていくかということを今交渉している最中であります。

山田太郎議員:今ですね、甘利大臣のほうから、一律に非親告罪化というのはどうなのかというようなことで探っているという、大変重要な発言をいただきましたけれども、まさに日本にはですね、アメリカのようにこの非親告罪についてはフェアユースですね、裁判に対する積み上げですとか、それから著作権を法廷で勝ち取ってくるとような実は習慣がありません。どちらかというとですね、現場も習うより慣れろ、慣れるより盗め、まぁいい悪いは別としてですね、先人の考え方や技術を忠実に伝承すると、こういった日本のやり方にこれが馴染むのかどうか。こういった議論は非常に重要だと思っております。

一方で表現の自由の問題としてですね、児童ポルノ規制法改正案みたいなものも、今会で、今国会では取り上げられています。参議院では今週の法務委員会でも質疑が始まるのではと思っておりますが、まさにこの問題、表現の自由、通信の自由、秘密を守ることが重要という立場で私自身も主張してまいりましたけれども、それらの観点から立っても、著作権非親告罪はそのまま日本に素直に適応するというのは、ちょっと見過すわけにはいかない問題かなと、実はこう考えております。著作権非親告罪に関してはこのまま適用されてしまうとですね、まさに児童ポルノ規制法改正案の議論同様、過度な自主規制とか萎縮効果で国内的には文化的、経済的にも混乱が生じるのではないかという懸念も考えております。今後この著作権がどうなるのか、できるだけ内容を開示していただいて、今日甘利大臣の方からも少し披露していただきましたけれども、現場に則した対応を急いで検討する必要もあるのではないかと、こんな問題意識を持っているわけであります。

そんな問題意識を持ちながら、ではですね、著作権を所管する下村文部科学大臣にお伺いしたいと思いますが、このTPP交渉における著作権の取り扱いについては、今甘利大臣の方から少し説明がありましたけれども、実は下村大臣はですね、平成24年6月19日、参議院文教科学委員会で、この著作権の一部改正に関する改正案ということで発言をされています。どんな発言をされているかといいますと、「TPP交渉においては著作権侵害非親告罪化については、これは絶対あってはならない」と発言されているんですね。当時下村大臣は野党の議員でいらっしゃいましたが、今は大臣となられております。大臣になられたからといって、真意を曲げられることはないのかどうか、お察ししたいと思いますが、大臣としてのこの著作権侵害非親告罪とTPPの関係についてですね、所管大臣でもありますので、ぜひご意見とご決意を賜りたいと思います。

下村文部科学大臣:TPPの対応については甘利担当大臣からお話があったとおりでございまして、今、文部科学省文化庁のなかでも著作権法の侵害罪につきまして、職権により刑事手続きを可能とする非親告罪化につきましては、文化審議会著作権分科会において検討が行われてまいりました。その結果、著作権分科会報告書におきまして、著作権等の侵害が著作権者に与える影響は著作物の利用、貸与や規模によって多様であることから、一律に非親告罪化することは適当でない旨の結論が出されております。著作権等の侵害罪の非親告化について、この文化審議会での検討結果や国内外の諸状況を踏まえて適切に対応する必要があると思いますし、TPPも甘利大臣からのお話のとおりであると思います。

ご指摘の私が申し上げたところはその前がポイントでありまして、これは私的違法ダウンロードの処罰についての議員立法の修正案の中で述べたわけでありますが、「今回の法改正は」、当時の答弁ですけども、「今回の法改正はあくまでも音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するものでございまして、将来的なダウンロード違法化の全著作物への拡大や非親告罪化をめざすものではありません。今回のアメリカとのTPP交渉においても、これは我々の立場からとしても、このダウンロード違法化の全著作物への拡大、あるいは非親告化について云々」ということでありまして、全てを反対ということではなくですね、非親告のその分野については精査しながら分ける必要があるということで、これは全く甘利大臣の答弁と同じ方向性であるというふうに思います。

山田太郎議員:TPP交渉においてこの非親告罪の問題、両大臣ともご認識が深いということで安心しました。なんとか日本の文化経済の発展のために、この問題、しっかり対処していただければというように思っております。

(書き起こしは以上)